Organ on a Chip

1. 概要

Organ-on-a-chipを用いた各臓器の生理学的性質の再現により、Organ-on-a-chipの毒性試験、安全性試験への活用やバイオマーカーの同定等への活用が期待されています。

PEIJチップセンターにおいて、評価法の具体化等に資するOrgan-on-a-chipを活用した研究開発・試験及び我が国でその活用の促進が図られますよう、アカデミア、企業の皆様と協働いたします。

また、SMAに関する論文、Genetic screening of spinal muscular atrophy using a real-time modified COP-PCR technique with dried blood-spot DNA. Brain & Development (in press)、が、Brain & Development誌に受理されました[2017.04.19]。今後、同知見をOrgan-on-a-chipの開発に活かしてまいります。

2. 活動実績

[2017.1.19]
RINKの会員イベントが開催され、 健康医科学センター長より、PEIJチップセンターについて紹介し、細胞の加工・培養・評価・保管・輸送という一連のプロセスのバリューチェーンの中で果たす役割につきましてご説明いたしました。

[2017.1.7]
健康医科学センターでは、アカデミア、企業等の皆様のOrgan-on-a-chipを活用した研究開発・試験のご支援を行い、我が国におけるOrgan-on-a-chipを活用した研究開発・試験の促進が図れますよう、PEIJチップセンター (PEIJ Microphysiological System Testing Center (MicSTeC))の運用を開始いたしました。

[2016.10.27]
かながわ再生・細胞医療産業化ネットワーク(RINK:再生・細胞医療の実用化・産業化を促進するため、羽田空港に隣接する川崎市の殿町区域に位置する再生・細胞医療の産業化拠点「ライフイノベーションセンター」(LIC)入居企業を中心に、業界団体や関係機関など多様な主体が参加・連携し、企業によるイノベーションの創出を目的に設立したネットワーク)のキックオフシンポジウムがライフイノベーションセンターで開催され、PEIJにおきましても健康医科学センターの事業紹介を岡本センター長から行うなど、参加者との意見交換を行いました。

[2016.01.13-14]
米国サラトガで開催されました"Bringing Ideas to Market 3.0 Collaborations by Design"に参加いたしました。

[2015.09.28-30]
米国サンディエゴで開催されました"Lab-on-a-Chip, Microfluidics & Microarrays World Congress"に参加いたしました。

[2015.07.08-09]
米国ボストンで開催されました"ORGAN-ON-A-CHIP World Congress"に参加いたしました。

1 ORGAN-ON-A-CHIPにつきまして
(1) マイクロ流体デバイスにより,複雑で動的な細胞周囲の微小環境を作り,臓器の機能を再現したデバイス。
(2) ORGAN-ON-A-CHIP World Congressにおいて紹介された臓器は,肺,心臓,肝臓,腎臓,腸,血液脳関門のOrgan-on-a-chipデバイスがほとんどであった。
(3) マルチウェルプレートやディッシュ,フラスコなどの平面基板上での培養法では本来の組織特異的な性質が失われるが,Organ-on-a-chipデバイスではその臓器の生理学的性質の再現を目指している。これらのデバイスで重要なのが,異なる細胞を共培養し多細胞構造をとること,組織同士のインターフェース,物理化学的な微小環境を作ること等である。
(4) 動物による試験の代替法として,前臨床・臨床試験における薬効や安全性に係る活用が期待され,研究開発が行われている。
(5) また,ひとつの臓器の再現ではなく,ヒトをChipで再現することを目指したBody on a Chipの研究も取り組まれている。これは様々な臓器のChipをマイクロ流路でつないだデバイスで,実際に薬を投与した時に出る各臓器での代謝物などの影響を調べることができ,薬剤スクリーニングなどに適用できる。
(6) さらに,国際宇宙ステーションの関係者に対して,Organ-on-a-chipデバイスについて紹介したところ,関心を示していたとの報告がORGAN-ON-A-CHIP World Congressにおいてあった。

2 ORGAN-ON-A-CHIPに係る米国におけるファンディングにつきまして
(1) Kristin Fabre博士(NIH National Center for Advancing Translational Science (NCATS))の講演資料によると,Tissue Chip Programは,米国食品医薬品局(FDA)の支援の下,米国国立衛生研究所(NIH)と米国国防高等研究計画局(DARPA)が連携し,それぞれがファンディングを行っている。
(2) 平成27年6月1-3日に開催されたGood Cell Culture Practice for iPSC workshop(於ボルチモア)において,Danilo A. Tagle博士(Associate Director for Special Initiatives, NCATS)によると,FY16予算案におけるPrecision Medicine Initiativeの合計215百万ドルの中には,幹細胞技術として,”You on a Chip”と”再生医療”が含まれているとのこと。
(3) 平成27年6月18日に開催されたNCATSアドバイザリー委員会において,NIHのファンディングのパート2(さらに開発し,前臨床ツールとして,また,臨床ツールとしても最大限活用できるよう,デバイス技術を進化させる)について議論されている。Tagle博士によると,予算がつき次第パート2に移行したいとのこと。

[2015.05.16]
Dr. Danilo Tagle, Associate Director for Special Initiatives, NCATS先生と、Organs on Chips / Human Body-on-a-Chipに係る協力の具体化に向けた意見交換を実施いたしました。

[2015.01.09]
Dr. Danilo Tagle, Associate Director for Special Initiatives, NCATS先生と、Organs on Chips / Human Body-on-a-Chipに係る協力の具体化に向けた意見交換を実施いたしました(平成27年1月9日)。その際NIHのCRM (NIH Center for Regenerative Medicine)の機能が、フェーズ2としてNCATSに引き継がれ体制が整備されるとの紹介がありました。そのような機能の検討にあたっては、2014年5月にバーチャルワークショップ「a virtual workshop in May 2014 to gather input from scientific experts on iPSC research with the ultimate goal of translational therapies」が開催されました。

[2014.12.15]
神奈川県 - NIH / NCATS シンポジウム-日米におけるトランスレーショナルリサーチ支援と人材育成-に参加されました、Dr. Petra, Director of Clinical Innovation, NCATS先生と、Dr. Danilo Tagle, Associate Director for Special Initiatives, NCATS先生と、心臓、神経、肝臓等に係るOrgans on Chips / Human Body-on-a-Chipに係る協力の具体化に向けた意見交換を実施いたしました(平成26年12月15日)。

3. 参考情報

ヒトiPS細胞由来分化細胞を用いた毒性・安全性評価法を開発し、非臨床試験に取り入れることは、ヒトへの評価を現状の臨床試験より前の段階で開始でき、創薬におけるコストの削減、開発期間の短縮が期待できます。

Organ-on-a-chip(以下、チップ)については、各臓器の生理学的性質の再現により、チップの毒性試験、安全性試験への活用やバイオマーカーの同定等への活用が期待されています。単一器官チップからは、臓器特異的組織と薬物との相互作用に有用な情報を得ることができますが、薬物に対する人体の典型的な反応は、複数の器官の複雑な相互作用を伴うため、より多くの情報が必要とされます。このため、複数の器官を連結することが有効です。単一器官のチップでは、例えば薬物化合物の吸収を模倣するだけのものですが、相互に連結することで、複数の器官間の代謝機能を持ったチップとして機能するようになります。